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内科開業医の風物詩

風物詩と書くと、何やら風流な感じがしますが、そういうものではありません。

私たち開業医の季節の流れと言うのはこんな感じです。

7月、8月は1年で一番お医者さんが暇な時期です。
9月も稲刈りが終わるまでは暇かなあ。
でも、ボチボチ患者さんが増えてきます。

10月、健診の患者さんが増えます。
以前の徳島市の成人病検診は10月が〆切りでした。
今の特定健診は、多くは12月の終わり頃までなのですが、昔の名残で10月までと勘違いされている方も結構多い。
それに少しずつ涼しくなるから、健診行こうかと言う方が増えます。

11月、急に患者さんが増えます。
インフルエンザの予防接種が始まるからです。
そして健診駆け込み受診の方も増えてきます。

12月に入ると、インフルエンザワクチンの人は更に増えます。
健診も少し減りますが、まだまだ駆け込み受診が多いです。
そして季節の変わり目の風邪の人が増えます。
今年はRSウイルスやマイコプラズマなど、咳の多い方が目立ちました。

私も咳の風邪、引いちゃったんですよね。
治るのに2週間かかりました。

で、12月に入ると同時に、ノロウイルスと思われる感染性胃腸炎が急増します。
今日も全滅の家族が居られました。
そしてインフルエンザもちらほらと出てきます。
ワクチンの人とインフルエンザの患者さんが同時に待合で居たりするんですよね。

1月に入ると、胃腸炎の人は少なくなり、インフルエンザがどっと増えてきます。
この流行が1ヶ月近く続きます。
で、2月に入り、インフルエンザが減ってくると、今度はロタウイルスと思われる胃腸炎が流行。
花粉症の人も出始める。

と、まあそんな感じで11月から花粉症の終わる5月の頭ぐらいまでが開業医の忙しい時期で、5月から9月の中旬ぐらいまでが暇な時期ですね。

そういう流れを知ると、じゃあ健診は暇な8月、9月に行こうとか、インフルエンザワクチンは、胃腸炎がはやり出す(かかっちゃうと注射の時期が後ろに伸びちゃうので)12月より前にしておこうとか、患者さんの方でも色々算段が出来そうですね。

と、言っても計算通りにいかないのが人間の体ですね。
そして人間の思考回路は変えにくい。
例年12月から2月の終わりぐらいまでは、戦場と言うか阿鼻叫喚の光景が繰り広げられるのです。

胃腸炎、流行りだしています。
皆さん、手洗いをしてくださいね。手を不用心に口に持っていかないようにしてください。

では、明日も元気で!
# by takahashi-naika | 2013-12-10 01:17 | 診療雑記

物語を聞かせて

今日は少し真面目な話しをしましょう。
真面目で少し難しい話しです。

私たち内科医が、患者さんの病気を診断するときに、一番重きを置いているのは何だと思いますか?
血液検査の結果でしょうか?
それとも、CTやMRIの画像でしょうか?

いえ、そうではありません。
もちろん、それらはとても有用なツールには違いないのですが。
そういうもので診断できる病気は限られます。
むしろ、そう言う目に見える形では診断出来ない病気の方が多いのです。

それでは何でしょう?

私たちが一番重視しているのは、現病歴というものです。
つまり、今の病気がいつからどんな風にはじまって、どんな症状を伴いながら今に至ったか。
その間に、治療が加われば、その治療によってどんな変化をしたか?
周りの同じような人がいるかどうか?

そういうことを一番大事にします。

病気の診断には、ワンポイントではなく、時間の流れとともにいくつもポイントがあった方がわかりやすいですね。起承転結と言うやつです。

患者さんの病気が始まって、今主治医である自分の前に来るまでにどういう経過を辿ったのか?
それが現在の病気を診断するために一番大事なことだと考えています。
私だけの意見ではありません。
過去の内科の大家の先生も皆おっしゃっています。
病気の8割は病歴だけで診断出来ると。

ですから、患者さんの話を一生懸命に聞いて、時間の経過とともにそれを整理しながら自分の頭の中を整理していきます。推理小説のようなものです。
患者さんによっては、話しの時間帯が、過去に飛んだり未来に飛んだり、また事実の中に自分の感想が入って来たりする場合があります。
そういう場合は、頭を整理するのに苦労をします。

ですから、患者さんも、出来るだけわかりやすく話しを聞かせてほしい。

「今日はどうしましたか?」と医者が言う時に「風邪です」と言うと、そこで話しが終わってしまいます。
既に診断は下されて、医者の入る余地はありません。けれど、その診断が全く外れて居る場合も多々あります。

「風邪だと思うんですが?」と言うなら「ほほう、どんな症状があってそう思うのでしょうか?」と尋ねる事が出来ます。
でも、それなら「数日前から、鼻水と咳があって、熱もあるんですが」と言って頂く方が解りやすいし手間も省けますよね。

医者は常に鑑別と言う事を考えています。
風邪だなあと思っても、他の病気の可能性はないか?と言う事も考えています。

だから、私は毎日言い続けています。
貴方の物語を聞かせてください。
正確に、そして簡潔であればなお嬉しい事です。
# by takahashi-naika | 2013-12-01 03:07 | 診療雑記

誰もが知っている事実

来年の正月、我が家は喪中です。

10月に副院長のお母さんが亡くなりました。
僕ら2人の親たちは、合計4人が健在でしたが、これで1人欠けたことになります。

喪中欠礼のハガキを知り合いには出しました。
そして、知り合いからも結構な数の喪中欠礼のハガキが帰ってきました。
親の年代が、色々病気になって亡くなる人が多くなる年代なのでしょうね。

その中に、大阪の勤務医時代に1年間だけ一緒に仕事をした先生のハガキがありました。
誰が亡くなったのかな?と思ったら、差出人が奥さんで、亡くなったのはその先生自身でした。
私より10歳年上だったので、享年63歳。
知り合った頃は、お互いに子どもがまだ居なかったので、彼の子どもさんとうちの長男と同じ世代のはずです。まだ高校生ですね。

そんな年齢で亡くなるのは、事故か癌か、心臓血管死か・・・。
でも、最近はなかなか心臓では死ねないですからね。
そんな事を思いながら、消息が知りたくて、大阪時代の友人に電話をしてみました。

彼はその先生のことを殆ど覚えていませんでした。
もちろん消息も亡くなった事も知りませんでした。
風来坊のように、全然毛色の違う救急病院から、慢性の呼吸器疾患の多い病院へやってきて、やっぱり肌が合わないと1年で辞めた人でしたから。
でも、面倒見の良い人だったし、私は机が隣だったこともあり、大阪を離れて以後会うこともなかったですが、それでも年賀状のやりとりはしていました。
長男が生まれた時には、洋服を送ってくれました。

さぞ無念だったでしょう。
ご冥福をお祈りします。

そしてもうひとつ。
その消息を聞いた先生は、2年前に癌が見つかり手術をした人でしたが、この秋に転移が見つかったそうです。その時の絶望の気持ちはいかほどだったか・・。

抗がん剤を飲み始めたらしいです。
今は無症状だけど、そりゃあ、元気では居られないよ・・と言います。
彼は私と同じ年です。
仕事だけでなく、趣味が似ていてプライベートでもよく遊んだ人でした。

人は皆死ぬ。
人間の死亡率は100%ですと言ったのは養老孟司先生でしたが、私も誰もが当たり前に知ってるその事実を、今日は匕首のように、のど元に突きつけられたような1日でした。

こんな日は飲むしかないですね。

亡くなった先生のご冥福を祈りつつ、癌が再発した彼が少しでも良くなるようにと祈りつつ。
# by takahashi-naika | 2013-11-26 02:06 | 日常雑記

旅立ち

先日、一人のお婆さんの患者さんが旅立ちました。

おっと・・こんな書き方をすれば誤解を招きそうですね。
決してお亡くなりになったのではありません。

ここ数年一人暮らしであったのが、息子さんの住む関東の老人ホームへ入所することになり、そこへ向けて旅立ったのでした。
高齢で、少し認知症もあっての一人暮らしは大変だったと思います。
自分では調理も買い物も出来ないので、朝と晩に2回、ヘルパーさんが入っていました。
介護保険の介護度は1か2だったと思うので、ヘルパーさんの代金を全て介護保険でまかなうわけにはいかず、2人の息子さん達が負担していたようです。
介護には、経済力も必要ですね。


惚けてきていると言っても、私が訪問診療に行くと、いつもお盆にお茶を入れて出してくれました。
お茶の入れ方にも細かく、こうやって覚えたことは、認知症が進んで来ても覚えているものだなあと感心していました。

高齢で虚弱でしたが、それほど大きな病気もなく、訪問した時には、さっと診察を済ませて、あとはお喋りしたり、一緒にテレビを見たり、頼まれて庭の果物を収穫したりしていました。
何度か一緒に写メを撮ったこともあります。ツーショットの写真が、今も私の携帯に残っています。

旅立ちの前に、息子さん2人が揃ってご挨拶に来てくれました。
「またお正月には戻ってくるんでしょう〜」とお母さんは仰っていたそうです。
住み慣れた家、結婚して50年以上住んで、2人の息子さんを育てた家、池があって、柿の木、レモンの木、梅の木がいっぱいある庭のあるそのお家は、人が住まない家になっていくのでしょう。
ご本人は挨拶に来られなかったので、最後のお別れは出来ませんでしたが、その前の訪問日に、一緒に写メを撮って、軽くハグをしたのが最後でした。

寂しいですが、それでもこうやって、引き取って世話をやいてくれるお子さん達が居て幸せだと思います。同じように一人暮らしで、家で亡くなって発見された方もいました。

残された人生はそれほど多くはないでしょうが、富士山の見えると言うそのホームで、最後まで楽しく暮らしてほしいものです。

それでは、みなさん。
今日も元気で!
# by takahashi-naika | 2013-11-22 00:48 | 診療雑記

含嗽(うがい)のやり過ぎ

急に冷え込むようになってきましたが、皆さんお元気でしょうか?
暑がりの私は、今日往診に行った時に半袖シャツ1枚だったので驚かれましたが、そろそろ長袖にしようかどうか迷うこの頃です。

不精者なので、一旦長袖になったら、今度5月のGW明けあたりまでタートルネックを着ていたりするんですけどね。

今日は含嗽(うがい)のお話しです。
風邪やインフルエンザの予防には、うがいと手洗いとはよく聞きますよね。
確かに、それは間違いないんですが、一つご注意を。

私、個人的にうがいのやり過ぎはよく無いと思っています。
個人的にと言うのは医学的統計的裏付けなく、自分の経験と勘でと言う事です。

解りやすい例えを出しましょう。
手を洗いすぎると手が荒れませんか?
水で洗いすぎてもそうなりますが、石けん水や消毒液で洗いすぎると更に荒れがひどくなりますよね。
喉の粘膜も同じだと思うのです。
荒れた粘膜は、それが本来持つ防御機能が落ちてしまい、感染に対して弱くなるような気がします。

うがい薬の多くは、殺菌作用を持つ消毒薬のようなものですから、それでうがいをやり過ぎると粘膜を痛めて感染する率が上がるのではないかと思います。
特に、濃ければ良しと思って、濃い濃度のうがい液でやっている方。
私も経験ありますが、濃いイソジンガーグルなどでやると、喉の粘膜に染みる感じがあります。
あれはよく効いているのではなく、喉の粘膜が痛んでいる印ではないかと思います。

ずっと昔、開業した頃。
喉の痛みがずっと取れないと言う患者さんが居ました。
確かに、その方の喉は赤く腫れていました。
抗生物質や、消炎鎮痛剤を飲んでもよくありません。
毎日必死で、濃いイソジンでうがいをずっとしていると仰っていました。

今なら解ります。
その患者さんの咽頭炎は、うがいのしすぎによる粘膜の荒れに起因するもだったのだと。

だからうがいのやりすぎには気をつけましょう。
特に消毒薬を用いる時は。
生理食塩水と同じ濃度(0.9%)の塩水でそっとうがいをする。
番茶や緑茶も抗菌効果があるらしいです。

外から帰ってきたときに、そっとする程度でよいと思います。
これで全部菌を殺して治そうなんて思わない事ですね。

ちなみに私・・うがいは滅多にしません。
理由は・・・めんどくさいから(笑)。

では、急な寒さに気をつけて。
明日も元気で!
# by takahashi-naika | 2013-11-14 23:10 | 診療雑記

たかはし内科 院長 日々の診察雑記帳


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