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今朝の小確幸

高齢化社会が進む日本、そして徳島。
90歳以上の患者さんは大勢居ます。多くは女性ですが。
患者さんが90歳になった時に、一緒に記念写真を撮るようにしています。
プリントして差し上げると、多くの方は喜んでくれます。
私はいつも半分冗談、半分本気で言います。
「いつか、来たるべき時が来たら使ってよ」と。

その方は3年前に一緒に写真を撮りました。
今日の洋服はイマイチなので、今度着替えて着たら撮ってと言って
次回の診察時にブランド物の上着を着てこられた方でした。

今は93歳なのですが、昨年から大きく体調を崩しています。
きっかけはよく分かりません。
突然受診が無くなって、ご家族(その方も私の患者さんなので)に尋ねても
元気だから・・と言うお返事でした。色々病気があって、大事な薬も沢山あったのにと
心配していたのですが・・。

調子が悪いので往診に来てくれと依頼があってお家に伺った時には別人になっていました。
認知症も出て来たようで、私のこともよく分からない。ブツブツと独り言。
食欲が無く食べれてない、動けない。顔色悪く、手足は腫れていました。
私の事も全然わからないようでした。

お家ではどうにもならないので、入院。
退院しても、またすぐに入院。少し良くなると退院(認知症の管理が出来ないので)と言うのを
3回ほど繰り返し、お家の人も、年齢的にもう入院しても良くならない。デイサービスなどの施設も、
調子が悪そうだとすぐに帰らされたり、救急で連れて行きましょうかと言われるの困って、
相談の結果、悪くても目をつぶろう、最後の時まで出来るだけ家で看ようと言うことに落ち着きました。

退院して3回目の退院後2回目の訪問が今日でした。
行くと、ベッドから降りて床に座り、ベッドを背もたれにしていました。
お家の人が、何度も先生だよと声をかけてくれます。
介護をしてくれる息子さんの事はたまに分かるとのこと。
昨日から来ている遠くに住む娘さんのことは分かって無いとのことでした。

顔色も悪いし、血圧も低いし、あまり調子は良さそうではありません。
でも、暫くしているうちに、その患者さんは叫びました。
「わかった・・この人は私の大好きな先生じゃ〜」
そう言って私の方へ両手をさしのべてきました。そう、ハグの姿勢です。
私は思わず。思い切りハグをしてしまいました。恋人にするように、ほっぺたをすりあわせ、頭を撫でて
ありがとう、思い出してくれて・・と何度も言いました。
もともと涙腺が緩い私、年取って更にその傾向が強くなっていますが、不覚にも涙が出そうになりました。

たまたまだったのかも知れません。
電球が切れる前に、一瞬繋がるみたいに私のことを思い出してくれたのかも知れません。
次の往診の時には忘れているかも知れません。
いや、次の往診までに悪くなるかも知れません。

それでも良いのです。
こういう喜びがあるから、かかりつけ医の喜びがあるのです。

私の好きな村上春樹さんが、「小確幸」と言う言葉を使います。
小さくとも確実な幸せ・・文字通りです。
私にとっての小確幸はこういうことなのです。




# by takahashi-naika | 2019-04-06 15:04 | 診療雑記

連休は嫌いだ

ここ数年、連休が増えて来ましたね。
そう、ハッピィマンデイと言う奴です。
日月と連休になって、土曜日も休みの人は3連休になると。
休みが続けば、遊びに行く人も増えて経済が活性化するのが狙い?

そんな単純なものなのでしょうか?
ライフラインに関する人など、日曜祝日も変わらず仕事をしなきゃいけない人は沢山います。
ハッピマンディなんて、公務員や大手の会社員が喜んでるだけでしょう。
政治家って自分でたいしたことしてると思ってますが、全体は見えてないんですよね。

私の仕事も、ライフラインではありませんが、人様の健康に関する仕事。
はっきり言って連休は迷惑です。
病院に来る人の多くは、月に1回、2回来るだけだし、そういう人には休診日はあまり関係ないでしょう。
でも、調子が悪くて、毎日来なきゃ行けない人も少数ではありますが、います。
そういう人には、日曜日の休みだけでも不安になるのに、連休なんて・・。

診療する私の立場からしても、週の後半に体調が悪くなった患者さんは、日曜日を睨みながら診療することになります。
週末までに調子が改善しなければどうしよう?1日休んでも大丈夫か?その前にどこかに紹介しようか?それとも休みの日にも来て貰おうか・・など
色々考えてしまいます。
そして、調子の悪い人だけでなく、調子の良い人にとっても、連休前後はその分患者さんが増えるので、待ち時間が増えて、不愉快な思いをさせることもあります。

じゃあ、先生は長期の休みは要らないの?海外旅行に行きたいと思わないの?とか思われるかも知れません。
正直に言いますと、この開業医、地域のかかりつけ医と言う仕事についた時に、そういう気持ちは捨てました。
調子の悪い人を置いて、長期の旅行に行ったりする方が、余ほどストレスなのです。
診療科目にもよるでしょう。皮膚科とか、眼科とか、あまり命に関わらない診療科の先生は、長期の休みに長期の旅行にお出かけする人も多いと思います。それはそれで、そういうライフスタイルなので、別に素敵な事だと思います。
でも、私は内科で、地域の開業医、かかりつけ医であることを選択したので、出来るだけ長期の休みは取りたくないと言うか、取らないと決めたのです。

まあ、そんなこと言っても、寄る年波、積年の疲れもあります。
日曜日の診療は数年前に止めさせていただきましたし、夜間の電話を取ることも止めました。
これも結構胸の痛む決断でした。まあ、在宅など一部の患者さんたちには、携帯番号をお教えしています。
お盆も、正月もGWも休みます。でも、遠くには行きません。在宅の患者さんから電話がかかって来たら、出来るだけ動けるように対処しています。
少なくとも電話を取る体勢だけは作っています。

5月の連休には、毎年野外フェスに行きますが、それも大阪なので、帰ろうと思えば帰ってこれる。
学会などの出張も、東京、大阪、京都ぐらいにしぼっています。遠いところへは行きたくありません。

そんな私にとって、今度の5月の10連休は気違い沙汰です。
本気でこれが良いことだと思ってる政治家を信用できません。
医療機関が月の3分の1休むって・・。ありえんでしょう。
まして、月初はレセプト作成期間で、事務の人は多分出て来ないとあかんだろうし。

そういう訳で、当院はGWの合間も、本来休みで無い30日、1日、2日の3日間は診療をします。
診療終了が夕方5時と少し早くなりますが、それは職員の事も考えました。
多分、普段当院にかかってない患者さんが増えると思いますので、新たなカルテの作成など時間がかかると思います。
ですから、このブログを読んでいる当院へかかってる患者さん達は、普段の診療、お薬などはこの期間にも開いてるから大丈夫と思わず、
連休の前後に来ておいてくだされば、私も嬉しいです。

仕事にはオンとオフの切り替えが大事なことは言うまでもありません。
でも、連休である必要は無い。ポツポツと祝日があればそれで十分です。

ハッピィマンディも止めろ、これ以上連休を作るな・・とこれが今日の主旨なのでした。





# by takahashi-naika | 2019-03-04 17:48 | 診療雑記

ご無沙汰でした

ぼうっとしているうちに、夏が終わり秋が過ぎ、新しい年になり、そしてもう春が来ようとしています。
すっかりブログ更新をサボってしまいました。
そんなに見ている人はいないだろうと思っていましたが、今日患者さんに、「ブログ更新せなあかんで〜」と言われて
見てくれいていた人もいたのねと思った次第。

ぼうっとしていて・・と書きましたが、ぼうっとしていたわけでは無く、夏からずっと子どもの事、親の事など、プライベートな出来事が多く
なかなかゆっくりブログを書く暇も無かったと言うのが本当のところです。

一番大きかったのは、両親の介護をはじめたことでしょうか?
うちの両親は、ともに80代の後半でまだ元気なのですが、数年前より母に物忘れが出てきて、
父が家事を肩代わりしていたのですが、年末に母が転倒して腕を骨折しました。もともときれい好き、掃除好きの母が、自分の年取ったのも忘れて、
エアコンを拭こうとして、登った椅子から落ちたのでした。

2階の和室で、ダブルの布団で寝て居た両親、片腕の使えない母は布団から起き上がることも出来ない状態で、
幸いトイレは2階にありましたが、起きるために父が手をひっぱり私がお尻をしたから支えてと言う大変苦労をしました。
食事もしたから上に運び、片手で食べるし怪我の手は痛いので食欲も落ちて・・。

介護保険を申請し、とりあえず下の和室に介護ベッドを入れてもらい、居を下に移して、何とか寝起きが出来るようになりました。
もともと昼は宅食を配達して貰って居たのですが、夜は自炊をしていたのが、ままならなくなり、さらに年末から正月明けまで1週間それが休み・・と言う訳で、私は昼に、夜に実家へ行って両親のご飯を作り、洗濯物を貰って帰り、家で洗い乾かして持って行く、そして週に2回程度母をお風呂でシャワー浴させると言う介護士になっておりました。もともと料理は得意だし、医者を辞めてもヘルパーで生きて行けるかと思ったりして。

秋に両親を連れて、多分最後になるだろう両親との旅行に行きましたが、その時に大浴場で父の裸を見て、その年取ったのに唖然としましたが、
同じように母も裸にしてみると、父と同じように服を着ている時以上に年齢を実感させられました。
母の身体を洗い、頭を乾かして髪を結んでやり、寝間着を着替えさせて、その後ご飯作って、脱いだ洗濯物を持って家に帰る、そんな毎日でした。

父も私ほどでありませんが、家事をする人なのですが、なんせもともと依存傾向が強く、赤ちゃんがえりしている母が、骨折でそれがさらにひどくなり、父の姿が見えないと大声で呼んだりするので、思うように家事も出来ずと言う状態でした。
人と言う文字は2人が支え合っている構図ですが、うちの両親も元気に見えて、1人が体調崩すとこんなにあっけないものだと思いました。

正月が終わり、宅食が再開され、夜にも弁当を取るようになり、母の骨折も少しずつ痛みが無くなり、手が動かせるようになってきました。
介護保険も認定されて、入浴はヘルパーさんが来てくれるようになり、私は週に何度か洗濯物を取りに行ったり、時々ご飯を作ったり差し入れに行ったりするだけでよくなりました。今はほぼ以前に近い生活に戻りましたが、年末年始の2週間ぐらいは本当にしんどかったです。

高齢化社会で、介護をしている人は大勢いるでしょうが、この短期間でもこれだけしんどいのだから、ずっと介護をしている人は、本当に大変だと思います。介護に必要なのはマンパワーです。介護保険を利用して、色々なサービスを利用することが必要ですが、それでも家族が中心になることは必要なのだなと改めて感じました。

これからは、ずっと放って置いた(と言う分けでもないけれど)親に寄り沿う日々になりそうです。
親の介護を通して、高齢者の身体や心の悩みを、今以上に理解し、学べる機会になればと思っています。





# by takahashi-naika | 2019-02-26 17:42 | 日常雑記

新しい絆

自分が最期をどこで迎えるのか?
それは、その人の信条がまずありますが、
その時の身体精神状況、看護介護するひとたちの気持ちやマンパワーなどにも左右されます。

今夜は、1人の患者さんを看取らせていただきました。
癌の末期の方でした。70歳の後半。
長年、生活習慣病で当院へ通院してくれていた方です。
ですから、私も最期は看取りたかった。

でも、当初は、家族に迷惑をかけたくないので、入院して死にたいと仰ってました。
まだ、癌がわかり、治療をしても効果が無かったけれど、ある程度元気な頃です。
いよいよ、動けなくなった時に、もう一度尋ねた時には、何も答えはありませんでした。
でも、介護していたお嫁さんは、自宅で看取る覚悟をされているようでした。
そう、一番肝腎なのが、家族の覚悟なのです。
主治医と家族が納得すれば、大きな障害はありません。
患者さんは住み慣れた家に居たい。それは当たり前の感情です。

多くを訴えない方でした。
少しずつ血圧も下がっていたし、血液の酸素濃度も低下していたし。
しんどかっただろうとは思うのです。
食事が出来なくなっても、私は点滴をしませんでした。
本人の希望も無かったし、家族も私に任せてくれていたからです。
少しずつ、口に含ませてあげる。水分、スープ、アイスクリームなど。
家族がしてあげる、それが大事な事だと思うのです。

医者はオーケストラの指揮者のようなものです。
どんな編成にするか、どれだけの音を出すのか考えます。
私は今回、出来るだけ人数を最小限に、音も殆ど沈黙を演奏するような構成にしました。
訪問看護婦さんに、状態観察と患者さんの世話をお願いしました。
家族が休むことが出来るのと、私が状態を把握することが出来るからです。
もちろん、本人家族が望めば、点滴もするし、酸素投与もいたします。
でも、死を前にして、必要なものは最小限でよいと考えました。

夕方に、呼吸が止まりつつあると家族から連絡があり、往診に行きました。
時々目を開いて大きな息をしますが、その間は長い時間止まっていました。
まだ脈拍は触れていました。
家族には、今晩中にお亡くなりになると思うので、お別れをしてくださいと言って帰ってきました。
でも、多分すぐだろうなと思っていましたが、家族から連絡があったのは、日付が変わる直前でした。
寝たきりになって約3週間程度、介護する人の負担もギリギリ許容できる期間だったかなと思います。

自宅で看取るときはゆっくりです。
病院のように、心電図モニターも何もありません。
本当に心臓は動いてないのか、本当に息は止まっているのか、本当に対光反射は消失しているのか。
ゆっくり診断して死亡宣告します。緊張します。

患者さんは、痩せて小さくなっていましたが、点滴も、尿のカテーテルも入らず、
お嫁さんが着せてくれていた綺麗な寝間着を着て、自然な形で亡くなりました。

昨年9月に、やはり在宅で1人看取らせていただきました。
その方は90過ぎた高齢で、老衰でしたが、やはり入院、点滴などを希望されませんでした。
家族が振り向いたらもう事切れていたみたいな、自然な亡くなり方でした。

私にも限界があります。全ての患者さんを家で看取る自信はありません。
まず必要なのは、本人の希望、そして家族の覚悟です。
しかし、本人が望み、家族も希望されても、住所が遠い方などは対応出来ない場合があります。
ある程度病状がコントロール出来てないと、本人も周りも苦労することもあります。
そういう場合は入院をお勧めしています。

でも、長年お付き合いのあった患者さん、私の文字通り手の届くところにいる患者さんの最期を看取りたい。
それがかかりつけ医の願いであり、また務めだと思うのです。

「最期まで看取らせていただいてありがとうございました」
私はいつも最後にこう言って家族に挨拶をします。
家族の方も、「先生のおかげで家で看取ることが出来ました」と言ってもらえることが多いです。
こうやって、また絆が生まれます;

これが私の喜びでもあります。

画像は、当院の軒下のツバメの巣。
どうやら、赤ちゃんが出来たようで、小さな鳴き声が聞こえます。
親は一生懸命面倒を見ているようです。
死に往く者あれば、生まれ来る者ありと言う事で・・。

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# by takahashi-naika | 2018-07-15 01:11 | 診療雑記

クリニックの軒下に

またまた更新が滞りました。
こんなに間が空いたらブログとは言えないかもですね。
本来筆まめなのですが、色々と公私に忙しく・・と言う事にしておいてください。

ところで、数日前から、ツバメがうろうろしてると思ったら、またクリニックの自動ドアの上に巣を作り始めました。
また、と言うのは数年前にも巣を作って、立派に完成したのにそのまま入らずにどこかへ行ってしまった事があるからです。
その後も毎年やってきてましたが、巣を作り出したのが久しぶり。

大きな軒があるので、風雨が当たりにくいと言う条件で選ばれているのだと思います。端っこじゃなくて、ちょうど軒下のど真ん中に作ってるから。
ツバメも小さな脳みそで考えているんでしょうね。
しかし、当院は人間の通行が多い、毎日巣の下を大勢の人が通るのはいかがなものか?おそらく前に断念したのも、そのことが原因かなと推察します。
日曜日あたりに来たら、良い場所と思ったのに、ウイークデーになったら、何じゃこりゃ?みたいな感じね。今回はどうなるのでしょう?
暖かく?見守りたいと思います。

もし、巣が出来て雛など生まれたときには、自動ドアの下を通るときにはご注意ください。
思いがけないプレゼントが上から降ってくるかも知れませんので。

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# by takahashi-naika | 2018-06-05 10:42 | 診療雑記

たかはし内科 院長 日々の診察雑記帳


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