旅立ち

先日、一人のお婆さんの患者さんが旅立ちました。

おっと・・こんな書き方をすれば誤解を招きそうですね。
決してお亡くなりになったのではありません。

ここ数年一人暮らしであったのが、息子さんの住む関東の老人ホームへ入所することになり、そこへ向けて旅立ったのでした。
高齢で、少し認知症もあっての一人暮らしは大変だったと思います。
自分では調理も買い物も出来ないので、朝と晩に2回、ヘルパーさんが入っていました。
介護保険の介護度は1か2だったと思うので、ヘルパーさんの代金を全て介護保険でまかなうわけにはいかず、2人の息子さん達が負担していたようです。
介護には、経済力も必要ですね。


惚けてきていると言っても、私が訪問診療に行くと、いつもお盆にお茶を入れて出してくれました。
お茶の入れ方にも細かく、こうやって覚えたことは、認知症が進んで来ても覚えているものだなあと感心していました。

高齢で虚弱でしたが、それほど大きな病気もなく、訪問した時には、さっと診察を済ませて、あとはお喋りしたり、一緒にテレビを見たり、頼まれて庭の果物を収穫したりしていました。
何度か一緒に写メを撮ったこともあります。ツーショットの写真が、今も私の携帯に残っています。

旅立ちの前に、息子さん2人が揃ってご挨拶に来てくれました。
「またお正月には戻ってくるんでしょう〜」とお母さんは仰っていたそうです。
住み慣れた家、結婚して50年以上住んで、2人の息子さんを育てた家、池があって、柿の木、レモンの木、梅の木がいっぱいある庭のあるそのお家は、人が住まない家になっていくのでしょう。
ご本人は挨拶に来られなかったので、最後のお別れは出来ませんでしたが、その前の訪問日に、一緒に写メを撮って、軽くハグをしたのが最後でした。

寂しいですが、それでもこうやって、引き取って世話をやいてくれるお子さん達が居て幸せだと思います。同じように一人暮らしで、家で亡くなって発見された方もいました。

残された人生はそれほど多くはないでしょうが、富士山の見えると言うそのホームで、最後まで楽しく暮らしてほしいものです。

それでは、みなさん。
今日も元気で!
[PR]
by takahashi-naika | 2013-11-22 00:48 | 診療雑記

たかはし内科 院長 日々の診察雑記帳


by takahashi-naika
プロフィールを見る
画像一覧