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彼が泣いた訳

今日から明日にかけて、大型の台風が四国を直撃しそうです。
こんな日は、患者さんも少ないことが多いのですが、お盆前で薬が無くなると言う患者さんもおられて、予想よりは多くの人が訪れてくれました。

予防接種に入って来た12才の男の子が、泣きながら鼻をすすっていたので、この年になって予防接種が怖いのか・・と思っていたら、そうではなくて、待合に置いてあったマンガを読んで泣いていたそうです。

彼を泣かせた本はこの本でした。

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村上たかしさんの「星守る犬」。
私は見ていませんが、映画にもなったそうです。
ペットロスと言うよりは、中年男と犬のロードムービーと言う感じの話ですが、確かに最後は切なくなります。

で、この話続編があります。

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最初の話の冒頭と、続編の最後が繋がるんですよね。
二つ合わせて読むともっと泣けたりします。

純粋なペットロスの話がこれ。


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つい最近ペットを亡くされた方に読んで欲しいです。
巻末に付けられた岡野楓さんの文章もすばらしい。

待合室には、以前は週刊誌を中心に本を揃えていましたが、最近趣向を変えて、自分好みの本、患者さんに読んで欲しい糖尿病や死を見つめる本など置いています。

滅多にないと思うのですが、待ち時間が長いとき、これらの本を味わっていただけたら嬉しいです。
# by takahashi-naika | 2014-08-09 11:00 | 日常雑記

健診の話、その3

健診の話、今回が最後です。

健診の時、ご飯を抜いた方が良いのかどうか、よく質問されます。
結論から言うと、抜いておいた方がベターだけど、食べていたら健診が出来ないわけではありません。
生活習慣病を対象とした、特定健診に関して言えば、食事の影響を受けるのは、血糖値と中性脂肪の値です。その他のコレステロール、肝機能、腎機能などは影響を受けません。

血糖値に関しては、一応食後の正常値と言うのがあります。
また、血糖値以外にHbA1c(ヘモグロビン、エーワンシーと呼びます)と言う指標があります。
これは、過去3ヶ月ぐらいの血糖の状態を見る検査です。

学校の勉強に例えて言えば、血糖値と言うのは、1回ごとのテストを、HbA1cと言うのは、学期毎の通信簿のようなものだと考えて頂けたら良いです。これはもちろん食事の影響を受けない・・と言うか食事の影響を受けますが、直前の食事を摂ったかどうかと言う事には関係ありません。
だから血糖値に関しては問題無い。

中性脂肪の方は、食後の正常値と言うのはありません。
だから、中性脂肪が食後で正常範囲であれば食事を抜いても正常値だろうけど、異常値になった場合は、別の機会に空腹で採血した方が正確な値が分かります。

しかし、誰もが食事を抜いてこれる訳で無いし、1項目のために、健診を全部止めてしまうのももったいない。だから、食事を抜くのが難しい人は、食事をして健診しても良いと私は考えます。

ちなみに、空腹と言うのは最低でも8時間以上絶食の状態を言います。
血圧やコレステロールの薬は飲んでくれても構いません。
しかし、血糖値を下げるような薬は、絶食の時は止めておきましょう。

癌の検診に関しては胃の検査をする時は絶食、これはあたりまえでしょう。
その他の前立腺、大腸、肺、子宮癌、乳がんなどは、食事は関係ありません。


以上で健診の話は終わりです。

まとめます。

まず、身体の調子の悪い方は、健診では無く普通に診察を受けましょう。
そうしないとドクターのピントがずれやすいです。
できるだけ、絶食で受けるのが良いですが、無理な方は食事をしてもかまいません。
健診も検診も、定められた施設で、定められたやり方で施行するようになっています。
何もかも一度にやりたいと言う方は、人間ドックを利用してください。
保険診療では検診をやってはならないと言う決まりがあることをご理解ください。

そして、何よりも言いたいこと。
健診・検診をしたら、必ず結果を聞いてください(するだけして、結果を聞きに来ない人が居ます)。
そして、悪い箇所があったら、それを是正する努力をしてください。
健診は終わりでは無く、始まりなのです。

今日も何人か健診の人が来られました。
〆切りが近い11月、12月になると医療機関は大変混雑して待ち時間が増えます。
7月から9月あたりが空いていて狙い目です。
出来るだけ早めに来て頂けたら嬉しいです。
# by takahashi-naika | 2014-07-15 23:30 | 診療雑記

検診(健診)の話 その2

健診(検診)の話続けましょう。

例えば、がん検診に関して言うと、私たちの診療所で出来るのは、大腸癌検診と前立腺癌検診、前者は便を、後者は血液を採取して調べます。

肺がん、胃がんはコミセン、検診センターなどでの集団検診となります。
子宮癌、胃がんは、特定の限られた施設です。

そのように検診はあちこち場所を移動してやる必要があります。

面倒ですね。

だから、ここで全部やってくれ・・そんな風に言う患者さんが少なからずおられます。
ここに2つの問題があります。
まず、時間の問題、
一人の患者さんに、血液を採り、便の説明をし、胸部のレントゲンをやって、胃の検査をやる。
こうなると1人あたり40分程度の時間がかかります。
1人なら良いけれど、こんな患者さんが何人も来たらどうでしょう?
うちのような診療所はパンクして、通常の業務が出来なくなります。
普段の病気でかかっている人に上に検診の患者さんが来るのです。
時間は全ての患者さんに平等とは言いませんが(病状の複雑な人、重い人にはそれなりに時間がかかるでしょう)、本来無症状である検診の患者さん1人にそんなに時間をかけることは出来ません。

そういう方にはお願いしています。
例えば、今日は血液を採る。便を持ってきて貰った時に、胃の検査をして、次に胸部のレントゲンを撮る。
そんな風に何回かに分けてお願いしたいと。
これなら、1人あたりの時間は少なくて済みます。
1回でどうしても全部済ませたいと言う方は、人間ドッグを受けることを勧めます。
そういう施設は、多くの人をこなすように機械も人員も配置されているからです。

そして、もう一つ問題。
検診の胃の検査や胸部の検査を診療所ですると言う事は、保険診療と言う事になります。
せっかく安いお金で検診できるのに、自費で高いお金を払ってと言う方は居ませんよね。

しかし、大前提として、健康保険の療養担当規則には、「健康診断を保険診療でやってはならない」と言うきまりがあります。
これを知らない方が多い。
保険は何でも使えると思っている方が多いのですが、そうではないのです。

最近咳が出るし、胃の調子も悪いから検査しよう・・そういう事なら構わないが、どこも調子は悪くないけど、検診でやってる検査をここでやってくれ、そう言われると私たち医療機関は困るのです。
特に1回の受診で、血液調べてレントゲン撮って、胃の検査して、便まで調べたら、どうみてもそれは検診ですよね。

皆さんが簡単に受診されている検診も、こんな風に色々複雑なのです。


この話、まだ続きます。
# by takahashi-naika | 2014-07-14 00:17 | 診療雑記

健診(検診)の話し、その1

いつの間にか6月。
ブログの更新も1ヶ月止まってしまいました。
筆まめな自分としては珍しいことです。

6月に入り、そろそろ特定健診の患者さんが受診されるようになりましたので、
今日は健診のお話しを。

前に書いたような気もしますが(年なので物忘れが激しい)、健診と検診の違いわかりますか?

健診とは、一見正常に見える人に、何か病気が無いかを探す作業です。
多くの場合、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が対象となります。
対象とする病気は一つではないんですよね。

それに対して、検診とは、その人に特定のある病気が無いかを調べる作業です。
胃がん検診、前立腺癌検診、肺がん検診などがそれにあたります。

現在、生活習慣病に関しては、特定健診が施行されています。
この主催者は、皆さんの健康保険証の発行者(保険者)ですね。
社会保険の方は、それぞれの会社の保険組合などだし、国保の人は、国保連合会になります。
緑色の封筒に入ってお知らせが来ると思います。

一方、検診の方は市町村が主催となります。
大腸癌検診、肺がん、胃がん、前立腺癌、乳がん、子宮癌検診などは、ハガキでお知らせが来ると思います。

がん検診のうち、一般の診療所で受けられるのは、前立腺癌と大腸がんになります。
胃がん、肺がんは、集団検診(コミセンや検診センター)となり、また子宮癌、乳がんは特定の医療機関での受診となります。

上の事から分かるのは、検診、健診でわかる病気は限られており、あくまでその対象となる疾患だけと言う事です。異常がなければ全て正常と考えるのは誤りで、その対象となる病気に関しては、(恐らく)正常だろうと言う事です。

このことからわかると思いますが、健診は今現在、その病気がはっきりと自覚されていない人に対して、何かしら異常がないかを調べるものです。
ですから、現在高血圧や糖尿病で通院している方には、生活習慣病の健診は必要無いと言うのが私の考えですが、被保険者の平等と言う観点から、実際には全ての人に健診の受診券が発行されています。
結局、普段病院でやっている検査の代わりに健診でやると言う事なのですが(健診の自己負担額と、普段の診療での検査に対して支払う自己負担額がどっちが多いかがポイントなのでしょう)。

後期高齢者の方で、生活習慣病で受診されている方には、残念ながら(と、言うか私はそれが妥当と思うのですが)健診の受診券は発行されません。

当然、癌で通院されている方もその癌に関しては受診の対象とはなりません。

患者さんでよく勘違いされている方がいます。
最近、身体の調子が悪い。
だから健診に行こうと。
その考え方は理解は出来ますが、多くの場合ポイントがずれています。
調子の悪い原因が健診で分かることは滅多にありません。
それは先に書いた健診の目的を考えて貰えばわかることだと思います。

医師の方も、その人が健診で来たのと、病気で来たのとはまた頭の回路が変わってきます(私だけかも知れませんが)。
健診の場合は、何か病気があるかなと思うわけですが、受診の場合は、この人の不調の原因は何だろうと考えるからです。
当然、調べる項目も違ってきます。

ですから、身体の不調で受診される方は、出来れば健診を使わない方が望ましいと言えます。
現実に、受診の場合でも健診でするような検査はすることが多いので、費用の面からは、あながちムダとは言いませんが
医師自体の重きを置くポイントがずれてしまうのが一番大きな弊害では無いかと私は思ってます。


健診の話し、続きます。
# by takahashi-naika | 2014-06-22 22:38 | 診療雑記

診察時の着衣について

今日の午前中のこと、ある妙齢の女性患者さんの診察をしていました。
夜中に痰が絡んだ咳がでるとのこと。
一通りお話を聞いて、「では、胸の音を聞かせてください」と言って聴診器を当てようとしました。

その患者さん、おもむろに自分のロングスカートの裾をつかんでひっぱりあげようとするではありませんか。
ちょっと待ってぇええええ〜〜!と慌ててとめました。
看護師が慌ててバスタオルを取りに走りましたが、それでもあられもない恰好になりそうなので、洋服の上から聴診させていただきました。
カーディガンを着ていたので気づかなかったのですが、ニットのワンピースを着ていたようです。
患者さんは平気だったようですが、そんなのこっちも目のやり場に困る。


えっと、何が言いたいかと言うと、病院へ来る服装にもTPOと言うのものがあると思うのです。
やはり診察しやすい服装で来て欲しい。
内科診断学では、全身をくまなく診察すると言うことになっているのですが、そこまで出来なくとも、咳が出るような方は、胸が出せる恰好、お腹が痛い人はお腹が出せる恰好、血圧の方は楽に腕がめくれるようにと。
自分は、別に裾から全部めくってもいいわと思う方もおられると思いますが、相手がどう思うかも考えての話です。
診察以外に、そういうところで、気を遣ってしまうと、その分医者の注意力も落ちてしまいます(私だけかも知れませんが)。

この方に限らずこういう思いをすることはよくあります。
自動車修理の仕事をしてる人が、仕事中につなぎの服を着てくるのは仕方ないし、仕事中に急に調子の悪くなる場合もあるので、いつもその通りに出来るとは限りませんが。

胸やお腹を出しやすい恰好、となれば上下別々になっている服で、ボタンが少なくて、めくりやすくて、あまりタイトじゃないものになるでしょう。
赤ちゃんの検診も、つなぎを着せてくるお母さんが多いですが、何故セパレートの服にしないんだろうといつも思います。

洋服の上からも聴診が出来ないわけではないですが、微妙な呼吸音はきっと聞き逃すでしょう。
まして、体に発疹が出ていたりしてもそれは見えないわけです。
こちらから申し出る場合もありますが、来る患者さん、来る患者さんに衣服の脱ぎ方まで指導していては、診療の密度も落ちてしまいます。

きちんとした問診と、診察が、正しい診断の第一歩であると言うことを、医者も患者も忘れないようにしたいものです。

では、今日も元気で!
# by takahashi-naika | 2014-05-22 10:58 | 診療雑記

たかはし内科 院長 日々の診察雑記帳


by takahashi-naika